ドルフィンズのレギュラーシーズン第11週の対戦相手は、ホームでの対バッファロービルズ戦です。ビルズとは同じAFC東地区同士であり対戦回数も非常に多いんですが、その中で印象に残っているものとして、1998年シーズンのプレーオフでの対戦を紹介したいと思います。

このシーズン、AFC東地区ではニューヨークジェッツが12勝4敗で地区優勝し、ドルフィンズとビルズが10勝6敗、そしてニューイングランドペイトリオッツが9勝7敗で、これら4チームがすべてプレーオフに進出しました。そしてドルフィンズとビルズがワイルドカードプレーオフで対戦することになりました。

3年でスーパーボウル制覇…これは1996年にドルフィンズのHCに就任したジミー・ジョンソンの公約だったんですが、その3年目のシーズンが1998年で、ジョンソンとドルフィンズにとっては絶対に負けられない、勝負のプレーオフという背景がありました。

ビルズのQBはダグ・フルーティでしたが、このフルーティとジョンソンは過去カレッジフットボールの試合での因縁がありました。ジョンソンがマイアミ大学のHCだった時に、全米選手権でフルーティがQBを務めるボストンカレッジと対戦しましたが、その試合の終了間際にフルーティがヘイルメアリーパスからの逆転TDを決めて、ジョンソンのマイアミ大学は敗れています。このフルーティの逆転TDパスはその後も語り継がれ、現在でもユーチューブに動画がアップされているほど有名なシーンとなっています。

試合は最初のプレーからフルーティのロングパスが決まりましたがファンブルしてターンオーバーとなる嵐の幕開けとなりました。ドルフィンズがKオリンド・マレーの2本のFGでリードしましたが、ビルズはRBサーマン・トーマスが1ヤードTDランを決めて逆転し、前半をビルズの1点リードで折り返しました。

後半、第3Qに共にTDを決めて14-14の同点で第4Qを迎えましたが、この第4Qにいろいろなドラマがありました。ドルフィンズはマレーのFGで勝ち越すと、さらにQBダン・マリーノがWRラマー・トーマスに11ヤードのTDパスを決めて24-14と10点リードを奪いました。そしてその時点で勝利を確信したんでしょうか、大変珍しいことにジョンソンが試合中に笑顔を見せました。

しかしそこからビルズが猛反撃、ドルフィンズ陣内1ヤード地点まで攻め込み得点チャンスをつかみました。ただ、ここでビルズのWRアンドレ・リードが審判の判定に抗議して退場処分となり、結局この攻撃でビルズはFGの3点に止まりました。

ビルズは次のプレーで最後の望みをかけたオンサイドキックを敢行しましたが、これが見事に成功して残り試合時間1分40秒ほどで再び攻撃権を獲得しました。ビルズはこの攻撃でドルフィンズ陣内5ヤード地点まで攻め込んで同点に追いつく最大のチャンスをつかみました。

残り試合時間17秒、この時点で同点でオーバータイム突入をほとんどすべての人が考えていたことでしょう。私もビルズの攻撃の勢いを見ていて、これは同点も仕方ないと思っていました。しかし次の瞬間、パスを狙ったフルーティをドルフィンズDEトレース・アームストロングがサックしてファンブルを誘発、転がったボールをドルフィンズ側がリカバーして試合が終わりました。

ジョンソンの勝利を確信した笑顔、リードの退場、アームストロングのQBサックなど印象に残るシーンがいくつもあり、最後まで手に汗握る素晴らしい試合でしたが、ファンとしてはドルフィンズが勝利したことでさらにおもしろい試合となりました。

ジョンソンはドルフィンズのHCとしてプレーオフでは2勝3敗という成績だったんですが、その中でもこの試合がいろいろな意味でベストゲームだったと思います。