ドルフィンズのレギュラーシーズン第16週の対戦相手は、ホームでの対ミネソタバイキングス戦です。ドルフィンズとバイキングスの試合も通常4年に1回で数が少ないです。それだけに、思い出に残っている試合というと、前回の対戦でしょうか。2010年にバイキングスのホームで戦った試合です。

このシーズンのドルフィンズはHCトニー・スパラノ体制の3年目で、スパラノにとってはある意味で勝負の年でした。トレードでWRブランドン・マーシャル、FAでLBカルロス・ダンスビーといったプロボウル選手を補強し、先発QBには3年目のチャド・ヘニーを本格的に起用しました。

このバイキングス戦は開幕第2戦として行われましたが、ドルフィンズはその前の試合でアウェイでバッファロービルズに勝利してこの試合を迎えました。対するバイキングスには先発QBとしてブレット・ファーブがおり、前年12勝4敗で地区優勝した実力チームで、戦前の予想では攻守共に勝るバイキングスが有利とされていました。

しかし試合はドルフィンズのディフェンスが大活躍で、ファーブから3つのインターセプトを含む4つのターンオーバーを奪って14-10でドルフィンズが勝利しています。

第1Q4thダウンギャンブル失敗で得点チャンスを逸したバイキングスに対して、ドルフィンズはヘニーがWRブライアン・ハートラインに5ヤードのTDパスを決めて先制しました。そして第2Qにドルフィンズは自陣13ヤード地点まで攻め込まれながら、CBボンテ・デービスがインターセプトを決めてピンチを脱するなど、前半を終了して7-0とドルフィンズがリードして折り返しました。

後半に入ってもドルフィンズのディフェンスは好調で、DEキャメロン・ウェイクがファーブからQBサックを奪ってファンブルを誘発させ、転がったボールをエンドゾーン内でDEコア・ミーシーが押さえてTDとし、14-0とリードを広げました。

これに対してバイキングスはドルフィンズ陣内1ヤード地点でファンブルリカバーから攻撃権を得ると、RBエイドリアン・ピーターソンが1ヤードTDランを決めて7点を返し、さらに第4Qに入ってFGで4点差まで詰め寄りました。

そしてファーブが3つ目のインターセプトを喫した後、再びファンブルリカバーで攻撃権を得たバイキングスは、ドルフィンズ陣内1ヤード地点で4thダウンギャンブルを敢行しました。しかし、ピーターソンのランはダンスビーに止められて得点ができませんでした。

それにしても、そのドライブでの攻防は圧巻でした。ターンオーバーでドルフィンズ陣内24ヤード地点から攻撃を開始したバイキングスは、ピーターソンのランプレーを6回続けました。特に4ヤード地点からのランプレーではダンスビーを中心とするドルフィンズのランディフェンスとピーターソンが正面からぶつかり、非常に見ごたえがありました。

結果論かもしれませんが、このドライブで4thダウンギャンブルをせずにFGを蹴って1点差としておけば、まだ残り試合時間は2分以上ありましたので、バイキングスにとっては逆転のチャンスは十分ありました。実際に次の攻撃ではドルフィンズ陣内27ヤード地点までボールを進めていたわけで、FGも蹴れた距離でした。しかし4点差だったためパス失敗で攻撃を終わっています。

バイキングスの総獲得ヤード数364が示すように、ドルフィンズは特に後半は攻められっぱなしだったという印象がありました。バイキングスの猛攻をドルフィンズのディフェンスが耐え忍んだという印象の試合だったんですが、バイキングス側にとっては強気の攻めが裏目に出たという試合でもあったと思います。

ちなみにこのシーズンからドルフィンズのディフェンシブコーディネーターがマイク・ノーランに代わっていますが、そのノーランのディフェンスと新加入のダンスビーの活躍が非常に光った試合だったと思います。そのダンスビーがいなくなった昨シーズンのドルフィンズのディフェンスは、特にランディフェンスで大きく落ち込みましたので、この試合を振り返ってみてもダンスビーの存在というのが大きかったんだと思います。

その他、この試合ではCBジェイソン・アレンが2つのインターセプトを記録して勝利に貢献しました。アレンについては2006年ドラフト1巡目指名選手だったんですが、期待外れの成績に終わっていました。この試合の活躍でやっとブレークしてくれるのかと思ったんですが、結果的にそのシーズンの途中で解雇されています。

アレンはその後、ヒューストンテキサンズ、シンシナティベンガルズとチームを変えたんですが、2013年4月にベンガルズを解雇されて以来、実質的にNFLから退いています。

また、この2010年まで何度も引退、復帰をくり返して物議をかもしたファーブも、そのシーズンを最後にNFLのキャリアを終えています。