ジョー・フィルビンが来シーズンもドルフィンズのヘッドコーチを務めることになりました。これは先日行われた対ミネソタバイキングス戦の試合後に、オーナーのスティーブン・ロスが発表したものです。この件に関してはいろいろな意見があると思いますが、個人的にはこれでよかったのではないかと思っています。

確かに3年連続でプレーオフには進出できませんでした。特に昨年、今年とプレーオフ進出の可能性が大きかったにもかかわらず実現できなかったというのは責任問題なのかもしれません。しかし現在8勝7敗、そして次週の対ニューヨークジェッツ戦に勝利すれば9勝7敗となり、2008年シーズン以来の勝ち越しとなります。

また、こういう考え方はよくないかもしれませんが、もしフィルビンが解雇されたら次のヘッドコーチは誰なのかと考えた時に、果たしてフィルビン以上の適任者が見つかるかという問題もあります。

NFLでは選手と同様にヘッドコーチも経験が必要だと思います。コーディネーターとヘッドコーチはまったく違うもので、いくら優秀なコーディネーターでもそれが優秀なヘッドコーチになれるとは限りません。いままでも何人もの優秀なコーディネーターがヘッドコーチになっていますが、ほとんどが上手くいかずにヘッドコーチの職を失っています。

そういうわけでNFLでは新人のヘッドコーチというのはほとんどの場合失敗しているように思います。ドルフィンズの例で言えばニック・セイバンしかり、カム・キャメロンしかり、そしてトニー・スパラノしかりです。ちなみにスパラノの場合は就任1年目で地区優勝を果たしましたが、あれは偶然手に入ったチャド・ペニントンというQBとワイルドキャットという奇策のおかげで、スパラノの手腕ではありません。

サンフランシスコ49ersを退団するであろうジム・ハーボーがドルフィンズのヘッドコーチに? という報道もありましたが、ハーボーがドルフィンズに来ることはありませんし、そもそもハーボーが優秀なヘッドコーチだったかというと、それも疑問です。

確かにハーボーは低迷していた49ersをプレーオフに導き、2シーズン前にはあと一歩でスーパーボウル制覇というところまで持っていきました。しかし、ではなぜ契約期間を1年残して49ersを去らなければいけなかったのか、その点はよくわかりませんが、何か問題があったとも思われます。そして今シーズンは第15週を終わった時点で早くもプレーオフ進出の可能性が途絶えていました。

ドルフィンズではフィルビンと共にGMのデニス・ヒッキーの残留も決定しています。ヒッキーの残留は疑問の余地のないところで、今年のFAやドラフトなどは概ね良好だったと感じています。しかしオフェンス、ディフェンスのコーディネーターの去就はまだ不透明となっています。

ただ、オフェンシブコーディネーターのビル・レイザーの留任も間違いないところでしょう。ドルフィンズのオフェンスは彼の指揮の下で確実に向上したと思います。1試合当りの平均得点は前年のNFL26位から12位へ、平均獲得ヤードは同27位から16位へそれぞれ上昇しています。QBライアン・タネヒルもレイザーのオフェンスを確実に習得しつつあります。

しかしその一方でディフェンシブコーディネーターのケビン・コイルの場合はそれほど単純ではありません。1試合当りの平均喪失ヤード数は前年のNFL21位から同8位へと向上しましたが、平均失点は同8位から17位へと落ち込んでいます。

特に第12週以降の5試合では平均失点が31.2点です。思うに第12週のデンバーブロンコス戦でランディフェンスが崩壊したんですが、それ以降ここまでその崩れたディフェンスを立て直すことが結果的にできていません。コイルについては退団が濃厚だという見方が大勢を占めているようです。

話をフィルビンに戻すと、フィルビンの続投が決定した後のドルフィンズの各選手の反応は概ね良好だったようです。中には対外的なリップサービスもあるのかもしれませんが、選手たちに歓迎され信頼されているのが一番なのではないでしょうか。ただ、来シーズンに向かってはより以上にチーム力を向上させていかなければいけません。