ドルフィンズがホームにピッツバーグスティーラーズを迎えて行われたこの試合、当初の予想ではドルフィンズの圧倒的不利、それどころか大敗を喫すのではないかと各方面で予想されていました。ドルフィンズファンの皆様もほとんどの方がドルフィンズの敗戦を予想されていたのではないでしょうか。私もその1人だったのですが、予想が外れてくれて逆に嬉しい結果となりました。

この試合を前にして、オフェンスではとにかく1stダウンを更新してドライブを続けてもらいたい、そうすればオフェンスが変わってきて、それに伴ってディフェンスも変わってくる、そうなれば光明が見えてくるかもしれないと思っていましたが、本当にその通りになってくれました。

最初の攻撃でTDは取れなかったものの、9プレーで53ヤードというドライブを継続させたのを見て、もしかしたらこの試合はいけるのではないかと思いました。

その直後にすぐに逆転されたんですが、その後の攻撃で12プレーで85ヤードというドライブを続け、これもTDは取れなかったもののFGで3点を返し、さらにインターセプトからのターンオーバーでまたFGの3点を加えたことがチームに勢いをつけたのではないかと思います。

スティーラーズのQBベン・ロスリスバーガーが怪我をしたことも勝因の1つだったかもしれませんが、仮に怪我をしていなくてもあるいはドルフィンズが勝利していたのではないかという気がするぐらいチームに勢いがあったと思います。

ドルフィンズはこの試合で、今シーズン初めてオフェンシブラインの先発選手5人が揃いましたがそれも影響したんでしょうか、オフェンスのプレーが非常に安定していました。QBライアン・タネヒルはパス32回投中24回成功で252ヤードを獲得してTDパスはなかったもののインターセプトもなく、何よりもQBサックを1つも受けませんでした。スティーラーズのパスラッシュも激しくなかったのかもしれませんが、ラッシュをかわしてロングパスを投げたプレーもありましたし、タネヒル自身もよく足を使っていてプレー内容もよかったと思います。

それとランプレーもよく出ていました。ほとんどがRBジェイ・アジャイなんですが、アジャイは25キャリーで204ヤード獲得2TDランという素晴らしい内容でした。もちろんいずれもアジャイにとっては自己最高の成績なんですが、チームとしても1人の選手が1試合で200ヤード以上走ったのは2003年のリッキー・ウイリアムス以来ではないかと思いますが、間違っていたらこめんなさい。

それでそのランプレーなんですが、それを支えたのがオフェンシブラインはもちろんなのですが、ほとんど目立たないところでTEマーキス・グレイとドミニク・ジョーンズのランブロックがあったのも見逃せないことろだと思います。地味ながら本当にいい働きをしてくれたと思います。

それに加えてグレイに関してはタネヒルのロングパスをキャッチして得点に結びつけたプレーは見事でした。あのプレーに関してはタネヒルがQBサックされそうになったのを回避してパスを投げたんですが、グレイはよく諦めずに走って自身をフリーにしてタネヒルに投げさせたことがよかったと思います。

ちなみにTEのポジションでは先発のジョーダン・キャメロンに次いでこの試合では第2TEのディオン・シムズも脳震とうを起こしてしまい、次の試合は両者とも出場できない可能性があります。そうなればグレイとジョーンズのプレー内容がより大切となってきます。

それとランプレーに関しては、スティーラーズのランディフェンスはこの試合前までNFL5位の77.0ヤードだったんですが、それに対してランプレーを挑み、計222ヤードのランを出したのは大いに評価できますし、チームにとっては自信になると思います。

一方ディフェンスに関しては、ランディフェンスは特に悪くはなかったと思います。スティーラーズのランは128ヤードだったんですが、RBレベオン・ベルは53ヤードに抑えました。ただし平均では5ヤード以上のランを出されていますのでまだ十分ではないですが。

そしてパスディフェンスについてはスティーラーズのエースWRアントニオ・ブラウンへのパスプレーをどう防ぐのかが注目だったんですが、ロスリスバーガーの怪我の影響もあってか、4回のパスレシーブでわずか39ヤード獲得に抑えています。そのパスディフェンスで光ったのが4パスディフェンスを記録したCBバイロン・マックスウェルでした。マックスウェルは控えに降格されていたんですが、この試合で奮起してくれたのか素晴らしい活躍だったと思います。

またこの試合では先発DEにキャメロン・ウェイクとアンドレ・ブランチが起用されました。これまで先発を務めていたマリオ・ウイリアムスは控えに降格となったわけですが、ブランチは1.5QBサックを記録して期待に応えた格好になりました。ウイリアムスもマックスウェル同様、今後奮起してプレー内容が向上してくれることを期待しています。

あと気になるところでは、ディフェンス選手で最も信頼がおけるSレシャッド・ジョーンズが肩を痛めて今シーズン絶望の可能性が大きくなっています。正式にはまだ発表されていませんが、かなり深刻な状態のようです。せっかくいい勝ち方をした後なので非常に残念なニュースです。

その他全体的に見るとFGのミス、不必要な反則などがあったんですが、インターセプトやファンブルといった致命的なターンオーバーがなかったことが勝因の1つと言えると思いますし、それらのミスにも影響されないほどチームが一丸となっていたように見えました。ボール保持時間も今シーズン初めて相手チームより多い36分半で、オフェンスのプレーにもリズムがあったと思います。

この試合の前まではタネヒルの降格論、選手の解雇や怪我など暗いニュースばかりでしたが、この勝利をきっかけにチームがいい方向に向いていってくれることを期待します。