先週ボルチモアレイブンズに38-6と大敗を喫したドルフィンズは、今週末ホームでアリゾナカージナルスと対戦します。カージナルスは5勝6敗1引分で、過去6試合を見ても2勝3敗1引分と勝率は芳しくありません。ただし、オフェンス、ディフェンスの成績を見てみると、オフェンス(ラン15位、パス9位)、ディフェンス(ラン11位、パス3位)となっています。

その成績を見る限り、なぜ負け越しているのか不可解なのですが、やはり何か理由があるのだと思います。しかしカージナルスは昨年は13勝3敗という成績を残し、プレーオフではNFC決勝まで行ったチームで、今シーズンは当初はスーパーボウル候補にもあげられていたいような気がしますので、実力は十分あると思われます。

この試合はドルフィンズのディフェンスがカージナルスのオフェンスを抑えられるかが1つのポイントとなります。ドルフィンズのディフィエンスは過去2試合で計971ヤードを相手チームに献上しています。特に先週の対ボルチモアレイブンズ戦ではパスで386ヤード喪失、そして先々週の対サンフランシスコ49ers戦ではランで193ヤード喪失と、ランもパスも抑えられていない状況となっています。

このディフェンスをなんとしても立て直していかないといけないのですが、この試合を迎えるに当たって最大の懸念材料となっているのがLBキコ・アロンソの怪我です。アロンソはレイブンズ戦で親指とハムストリングを痛めており、この試合に出場することはほぼ絶望的となっています。

また同じくLBジェラニー・ジェンキンスも膝の怪我で出場は無理そうです。アロンソとジェンキンスの代わりには、それぞれマイク・ハルとネビル・ヒューイットが務めることになりますが、戦力ダウンは否めません。LB陣が手薄となるとランディフェンスに大きく影響しますし、パスディフェンスでもTE、RBへのパスカバーが厳しくなります。レイブンズ戦ではTEへのパスをカバーできなかったことが敗因の1つともなっています。

カージナルスのオフェンスの中心はRBデビッド・ジョンソンで、今シーズンのジョンソンはすでに1005ヤードを走って11TDランを記録しています。それに加えてパスレシーブでも64回で704ヤードを獲得しており、WR並のヤード数を稼いでいます。アロンソとジェンキンスの先発LB2人が欠場するドルフィンズが、このジョンソンを止めることはかなり厳しいことが予想されます。

そしてカージナルスのもうひとつの武器はWRラリー・フィッツジェラルドです。今シーズンはこれまで88回のパスレシーブで880ヤードを獲得して5TDパスレシーブを記録しています。フィッツジェラルドをカバーするのはニッケルCBのボビー・マッケインが主になるんでしょうが、これも容易なことではないでしょうね。

カージナルスのQBカーソン・パーマーは18TDパスに対して11インターセプト、QBレイティングは85.5でこれはNFL23位の成績となっており、特筆していい成績ではありません。しかし先週の対ワシントンレッドスキンズ戦では300ヤードを投げて3TDパスを記録し、チームの31-23の勝利に貢献しています。 

ドルフィンズとしてはパスラッシュでパーマーにプレッシャーをかけて自由にパスを投げさせないようにすることが勝利につながりますが、先週のレイブンズ戦ではQBジョー・フラッコにプレッシャーを与えられず、1つもQBサックを決められませんでした。この試合でもパーマーにプレッシャーをかけられなければレイブンズ戦の二の舞となる可能性が高くなります。

 他方、ドルフィンズのオフェンスはやはりRBジェイ・アジャイのランプレーが鍵となります。カージナルスのランディフェンスはNFL11位ですが、過去4試合で相手チームに100ヤード以上走られたのは1試合しかありません。アジャイはあと92ヤード走れば1000ヤードラッシャーとなりますが、もしこの試合でそれが達成されるようならば、ドルフィンズが勝利する可能性は高まります。

またQBライアン・タネヒルは先週のレイブンズ戦でパス40回投中29回成功で226ヤードを獲得しましたが、自己ワーストの3インターセプトを犯しています。カージナルスのパスディフェンスはNFL3位と強力で、今シーズンは相手QBに250ヤード以上を許した試合はわずか1試合、ニューイングランドペイトリオッツのQBトム・ブレイディに対した時の257ヤードだけです。

そしてタネヒルを守るパスプロテクションも大切で、カージナルスはLBのチャンドラー・ジョーンズとマーカス・ゴールデンがそれぞれ8.0QBサック、7.0QBサックを記録しており、この2人を中心としたパスラッシュにも注意が必要です。

先週から復帰したLTブランデン・アルバートとLGラレミー・タンシルは怪我で体調が万全ではなく、Cマイク・パウンシーはこの試合も出場できません。オフェンシブラインにも不安を抱えるドルフィンズがカージナルスのパスラッシュからタネヒルを守れるのか、またプレッシャーを軽減するためのランプレーやプレーアクションパスの成否が勝敗に影響すると考えられます。

いろいろな角度から見てもカージナルスの優位は変わらないんですが、ただ1つ、ドルフィンズにとって優位な条件といえばホームゲームであるということです。今シーズンのドルフィンズはホームで5勝1敗、対するカージナルスはアウェイで1勝4敗、さらに東海岸での試合は0勝3敗です。その流れがこの試合でも影響するようならばドルフィンズにも勝機は訪れるでしょう。

ただし、大切なことはやはりカージナルスよりも先に得点を取って試合を優位に進めることだと思います。先週のレイブンズ戦でも序盤の得点チャンスを無駄にしたことが敗戦につながっています。確実に得点してターンオーバーなどのミスを犯さないことが勝利の鍵だと思います。

そして、あとはやはりディフェンスがどこまで踏ん張れるかにかかってくるでしょうね。ジョンソンかフィッツジェラルドのどちらか一方でも抑えることができれば、カージナルスのオフェンス、特にパーマーもリズムを崩すでしょうし、そうすればミスも誘発することができると思います。とにかくディフェンス陣の奮起に期待したいです。