ドルフィンズが敵地に乗り込んで対戦するニューヨークジェッツ戦ですが、この試合は両チームとも控えQBが先発します。ドルフィンズは先週の対アリゾナカージナルス戦で左膝を痛めたQBライアン・タネヒルに代わって、QBマット・ムーアが先発します。対するジェッツは不振のQBライアン・フィッツパトリックに代わって2年目のQBブライス・ペティが先発します。

ペティはこれまで4試合に出場していますが、そのうち2試合が先発でQBレイティングは65.6、2TDパスに対して4インターセプトという内容です。先週の対サンフランシスコ49ers戦ではパス35回投中23回成功で257ヤード獲得、TDパスはなく1インターセプト、さらにQBサックを6回も受けましたが、チームをオーバータイムの末の勝利に導いています。

一方、ムーアは2012年1月1日以来の先発出場となります。その年は負傷欠場したQBチャド・ヘニーに代わって10試合に出場しましたが、パスで2497ヤードを投げて16TDパス、9インターセプトでQBレイティング87.1という成績で、そのシーズンのチームMVPにも選ばれています。ただし、それから約5年間、タネヒルの下で控えを務め、ほとんどプレー経験がありませんでした。

両チームとも先発QBに不安定感があるために、戦術としてはやはりランオフェンスが中心となり、その成否が勝敗に直結するような試合展開が予想されます。ドルフィンズはRBジェイ・アジャイがジェッツのディフェンス相手にどこまで走れるかが課題となります。前回の対戦では、当時NFL1位だったジェッツのランディフェンスに対して、111ヤードのラッシングを記録して勝利に貢献しています。

その時と比べてジェッツのランディフェンスは現在NFL17位と大きく成績を下げています。そして過去5試合のうち4試合で相手チームに100ヤード以上のラッシングを許しており、特に先週の49ers戦では248ヤードを走られています。およそ1ヶ月半の間で1位から17位まで順位を下げるというのはあまり考えられないことなので、相当状態が悪いということが言えます。ただし、数字というのはあてにならないので、今回アジャイが同じように走れるかどうかはわかりません。

アジャイも前回のジェッツ戦以降は100ヤード以上のラッシングを記録しておらず、先週のカージナルス戦では20キャリーでわずか48ヤード獲得に止まっています。ランプレー不調の要因はオフェンシブライン、特にCマイク・パウンシーが欠場しているということも影響しており、そのパウンシーはすでに故障者リスト入りし、当然この試合にも出場しません。アジャイが走れなければムーアのパスプレーにも影響を及ぼしますので、なんとかしてランプレーでヤードを稼いでいく必要があります。

対するジェッツはエースRBマット・フォルテが怪我をしており思うように走れない状態のようです。しかし控えRBバイラル・パウエルには要注意で、先週の49ers戦ではオーバータイムでの決勝TDランも含めて、145ヤードを走っており、シーズン通しては456ヤード(平均5.8ヤード)のラッシングを記録しています。また、前回の対戦では6キャリーで22ヤード獲得に抑えていますが、ほとんど参考にならず侮れません。

ジェッツは過去7試合のうち5試合で100ヤード以上のラッシングを記録しており、49ers戦では40キャリーで188ヤードを記録しています。対するドルフィンズのランディフェンスはNFL30位、カージナルス戦では175ヤードを走られて、それも含めて過去4試合すべてで相手チームに100ヤード以上のラッシングを許しています。

ドルフィンズが勝利するためにはジェッツのランオフェンスを止めることが必須ですが、幸い先週のカージナルス戦を欠場したLBキコ・アロンソがこの試合では復帰します。ジェッツのランオフェンスを止めてパスを多用させ、ペティにパスラッシュをかけてミスを誘発するようなディフェンスができるかどうかがポイントとなります。

前回の対戦ではKRケニアン・ドレイクの96ヤードキックオフリターンTDでドルフィンズが逆転勝利をあげているんですが、両チームの実力は拮抗していると言えます。加えてジェッツにとって有利なのは自身のホームゲームであるということです。寒冷地での試合でもあり、天候不順も予想されることから、その点ではドルフィンズにとって不利な条件なので、ターンオーバーなどのミスを犯して相手に試合の主導権を握られないようにする必要があります。

両チームの最近5試合の成績を比べてみるとまったく対照的で、ドルフィンズが4勝1敗であるのに対して、ジェッツは1勝4敗となっています。しかし、ドルフィンズは長期に渡って実戦経験のなかったムーアが先発すること、そしてジェッツは先週の勝利で勢いづいていると思われるところもあり、その5試合の成績はまったく参考にならないと思います。

プレーオフ進出の可能性があるドルフィンズですが、ジェッツはライバルチームとしてドルフィンズのプレーオフ進出を阻止するために全力を尽くしてくるでしょう。そのジェッツを打ち負かすことができるのか、その点が今シーズンのドルフィンズのチームとしての実力を図る尺度となると思われます。