戦前の予想ではドルフィンズが圧倒的に有利だったんですが、試合はやはりやってみないとわからないものですね。これでドルフィンズは1勝1敗となり、数字的にはそんなに問題ではないんですが、内容とか今後を占うとかいうことを考えると、本当に深刻な敗戦だったと思います。

まず感じたことは、ニューヨークジェッツはRBジェイ・アジャイを徹底的に止めにきていたと思います。その戦術が見事にハマったというところもあるんですが、アジャイ自身も怪我をしていたので本調子ではなかったところもあるのではないでしょうか。

いかにジェッツがNFL最悪のランディフェンスだったとはいえ、いざやってみるとこういうことが起きるわけですから、改めて思うことは数字というのは全くあてにならないということですね。

アジャイのランプレーが止められたこともあるんですが、本質的な敗因はQBジェイ・カトラーにあったと思います。この試合ではパス44回投中26回成功で220ヤード獲得で1TD、1インターセプトということだったんですが、内容が非常に悪かったです。

直感的に感じたのはパスがしっかり投げられていないということです。まあ、アジャイのランが止められたということでパスラッシュがより厳しかったということもありました。ジェッツ側は時には6〜7人ぐらいでパスラッシュを仕掛けていたこともあって、さすがにそれでは思うようにパスを投げられないですね。ただ、それを差し引いてもパスの精度や内容はよくなかったです。

ここで思い出されるのが先週の対ロサンゼルスチャージャース戦なんですが、この試合でドルフィンズは非常に保守的なプレーコールが目立ちました。アジャイのランプレーが中心だったんですが、カトラーのパスも短いものが多くてしかもWRジャービス・ランドリーに異常に集中していました。

なぜそうせざるを得なかったのかというと、やはりカトラーがパスを投げられないからということになるんだと思いました。カトラーは一度引退した選手で、復帰してからまだ2か月ほどしかたっていませんし、公式戦は2試合目です。プレシーズンゲームではよかったんですが、所詮プレシーズンはプレシーズンだったということでしょうね。

カトラーのパスはスピードがないし不正確でした。試合の後半だったと思いますがエンドゾーン内でオープンになっているランドリーにパスを投げられなかったことやインターセプトを犯したパスもですが、状況判断がよくできていませんでした。これはやはり一度引退していたということが大きく影響しているのだと思います。

今後試合を重ねていってそのあたりが修正できればいいんですが、シーズン中は本格的には練習ができないでしょうから難しいところもあると思います。シーズン開始前にはプレシーズンのカトラーの調子を見て結構勝てるのではないかと思っていましたが、この試合を見た後はかなり厳しく感じました。まあ、私の予想が外れてくれればいいんですけどね。

最後のTDパスはおまけですね。完封されてもおかしくない試合でしたが、最後はジェッツのディフェンスもソフトになっていたのでパスも通りやすかったと思います。したがって、あれが本来の姿だと思うと大きな間違いで、これからの試合は本当に苦しくなってくるでしょうね。

オフェンスが行き詰まってフェイクパントを敢行しましたが、あれは完全に愚策でした。トリックプレーというのはチームの調子がよくてリズムがある時にやって効果があるもので、追い込まれた状態でやっても成功する可能性は低いです。まあ、それだけ打つ手がなくなってどうしようもなくなったということでしょうが、やってはいけない状況だったと思います。パントを蹴ればそこからターンオーバーということもよくあるんですから。

これでドルフィンズの攻略法が今後対戦するチームにわかってしまった形になりましたが、この敗戦を教訓にどういう対策を考えるのかが課題となります。オフェンスをどのように立て直すのか、カトラー次第だと思いますが、その点に注目したいと思います。