先週の対バッファロービルズ戦で嫌な負け方をしたドルフィンズと開幕連敗スタートのカンサスシティチーフス…いずれも勝って嫌なムードを振り払いたい両チームの対戦でした。戦前の予想ではドルフィンズが有利とされていたんですが、試合が終わってみればドルフィンズが不甲斐ない惨敗を喫してしまいました。

あまりにも情けない試合で途中で見るのが嫌になったほどですが、全体を通して見るといろいろなことがありました。ただ、細かいことを言い出すときりがなくなりそうですので、大事なところだけ触れたいと思います。

何と言ってもこの試合はオフェンスの不甲斐なさが最も大きな敗戦の要因でした。先週のビルズ戦もそうだったんですが、とにかくオフェンスが進まない、得点が取れない、これにつきると思います。オフェンスが得点を取れればディフェンスも相乗効果でもっとよくなると思います。

両チームとも得点に関係するプレーは5回ずつだったと思いますが、チーフスがその5回をすべてTDに結びつけたのに対して、ドルフィンズはTDはわずか1回、その他はFGが2回成功で1回失敗、そしてセーフティです。これではとても勝てません。

特にビッグプレーが出た後にオフェンスが乗っていけないというのが、チームにモメンタムを呼び込めない要因となっています。KRジャービス・ランドリーが試合開始直後と第3Qに素晴らしいキックオフリターンをみせてチャンスを作ったんですが、前者はパントに終わり、後者は1stダウンも更新できずにFGに終わっていますが、こういう時にオフェンスがしっかりドライブをしてTDを取ればチームの士気は一気に上がります。

しかしそれができないのが今のドルフィンズです。この試合ではターンオーバーも2つ、ファンブルリカバーから取っているんですが、最初はなんとかTDに結びつけましたが、もう1つは試合終盤で配色濃厚だったせいもあり、ここでも1stダウンすら更新できずに4thダウン残り1ヤードを簡単に止められています。

そのオフェンスが乗っていけない最大の要因がQBライアン・タネヒルの不振にあります。確かに開幕戦で活躍したRBノーション・モレノがいないということもありますが、この試合ではその代わりにRBラマー・ミラーがキャリア最高の108ヤードラッシングを記録しています。にもかかわらずこの試合内容というのは、いかにパスオフェンスが悪かったかという証明となります。

タネヒルはパス43回投中21回成功で205ヤード獲得、1TDでインターセプトはなかったんですが、インターセプトされてもおかしくないパスはありました。パス成功率は50%を割っており、これはたぶんNFLでは初めてのことではないでしょうか。レシーバーが落球したものもありますが、それ以上にパスの精度が酷すぎました。またパスの精度が悪いから落球をするとも言えます。

今年のタネヒルは開幕からずっとパスの内容が悪いです。それどころか試合を重ねるたびに悪くなっていきます。新しいオフェンスとなって、それに今一つ適応できていないということがあるんでしょうか。このままでは昨年までのマイク・シャーマンのオフェンスの方がよかったとも思える状況です。

また、新しいオフェンシブコーディネーターのビル・レイザーですが、レイザー自身もNFLでオフェンシブコーディネーターを務めるのは初めてのことなので、そのあたりも影響しているんでしょうか。プレーコールなども疑問に思えるものもありましたし、まるで相手ディフェンスに読まれているんじゃないかと思えるほどパスが通りません。

チーフスはNFLでもパスディフェンスが悪いチームだったんですが、そのチーフスに対しても、しかもホームゲームでこの程度のパスオフェンスしか出せないタネヒルでは、この先が本当に思いやられます。というわけで、開幕から3試合目なんですが、早くもQB交代かという議論がされています。

思えばプレシーズンゲームの時からタネヒルよりも控えQBマット・ムーアの方が結果を残していました。相手チームとの兼ね合いでそうなったのかもしれませんが、ムーアのオフェンスの方が非常にリズムがよかったように思えました。ひょっとしたらタネヒルよりもムーアの方がレイザーのオフェンスにマッチしているんじゃないかという見方もできるかもしれません。

ただ、結論を出すのは早いでしょうし、少なくとも次週の対オークランドレイダース戦はタネヒルが先発することになると思います。その次の週がバイウイークで試合がないので、もしまたタネヒルの内容が悪いようならば、HCジョー・フィルビンも今年結果を残せなければ解任されるでしょうから、QBの交代を考えるかもしれません。

個人的にはタネヒルに現在の状況を乗り越えてNFLでトップクラスのQBに成長してもらいたいと思っています。現在は精神的にも非常に苦しい状況にあるのではないかと推察されますが、何よりも試合に勝つことが大きなきっかけになると思いますので、次のレイダース戦はなんとしても結果を残して勝ってもらいたいです。舞台はロンドンという特別な場所ですので、何かが変わることを期待しています。